大切な人を亡くして涙が出ない方へ

大切な人が亡くなっても涙が出ないのは…。

大切な方を亡くした時、涙が出てこない時がある。

とても悲しいという感じはするけれど、涙が出ない時がある。

そんな時、私たちは自分を責めてしまいがちです。

「なんてひどい人間なんだろう。」

「感情を感じない…。」

といったようにです。

ただ、大切な人が亡くなっても涙が出てこないのには、
大きく分けて理由が2つあり、その両方いずれもあなたが酷い人間であることや、
感情がなくなった人間ではないことを教えてくれます。

もし、あなたが涙がでなくて自分を責めているとしたら、どうかこれを読んで欲しいと思います。

心がショック状態である。

大切な人を亡くすという体験は、あなた自身にとっても、あなたの心にとっても、

堪えがたく、言葉に表す事が出来ない程のショックを受けます。

そのショックの大きさは計り知れない為、あなたの心がそれ以上のショックや、

感情の波にあなたさらわれないように、心を一時的に休ませてくれることがります。

以前にも、こちらの記事に書きましたが、急性ストレス障害のような症状がでることがあるのです。

 

すると、あなたの心は先に説明したように、感情の波にさらわれて、

あなたがおかしくならないように、感情を感じなくさせてくれたり、

それ以上の悲しみを感じなくするように、思い出の場所をさけさせたりと、

「回避反応」を起こさせてくれることがあるのです。

 

直接「死」という大きなテーマと向き合うには、

大きな痛みと、大きなエネルギーがいります。

心が今は、まだその「死」という大きなテーマと向き合うには早いと、

そう感じてくれて、心(感情)を休ませ、

またあなたが自分のペースで一歩踏み出せるその時まで、

感情を感じなくさせてくれているのです。

 

だから、たとえ周りが泣いていて、あなただけが涙が出ないとしても、

あなたは酷い人なんかじゃありませんから、安心して下さい。

あなたの心は、今もあなたを守ってくれているのです。

既に心が喪失を体験していた。

そして、もう一つ考えられる理由は、大切な人の命がもうあとわずかだと悟った時、

あなたはきっと沢山沢山泣いて、言葉にならないような悔しさや、怒りや、

悲しみを一人抱えていたのではないでしょうか。

 

もしかしたら、その涙は誰にも見せなかったかもしれませんが、

あなたはすでにその時に、「喪失」を体験していたのではないでしょうか。

大切な人が生きている時に、その深い悲しみを抱えていたのではないでしょうか。

 

きっと大きなショックは、「亡くなる」という現実を知ったその時に、

あなたはすでに体験していたのです。

そして、準備はしたくなかったでしょうけれど、

心が少しずつ、やがて来るその日に対する準備をしていたのです。

 

だから、実際に大切な方が亡くなった時に、涙がそんなに出なかったのです。

それは、もう既にあなたが沢山泣いて、大きなショックをその時に受けていたからこそなのです。

ですから、安心してください。

あなたの心は、壊れていません。

あなたは一人、悲しみをずっと抱えていたのですから。

酷い人ではないのです。

 

どうか「涙が出ない」という理由だけで、

あなた自身を責めたり、傷つけないでください。

 

そして、涙が出ない方を見ても、どうか責めたり批判的な目で見ないで上げて下さい。

みんなその人なりに乗り越えようと必死なのですから。

だから、温かい目で見守ってあげて下さい。