喪失で失うのは、もう一人の私。
喪失で失うのは、もう一人の私。
大切な人を亡くした時、
私たちは、大切な人と同時にもう一人大切な人を亡くします。
それは、「それまでの私(過去の私)」です。
大切な人と
一緒に生きてきた私。
一緒に笑い合ったて来た私。
価値観を共有し合ってきた私。
支えられてきた私。
支え合ってきた私。
安心していられた私。
幸せを感じていた私。
大切な人がこの世を去った時、
そんな「それまでの私」は、音を立てて崩れ落ち、
もうその「私」は戻ってくることはありません。
そして、その音を立てて崩れた時、
言葉に出来ないくらいの衝撃が心を突き抜け、
過去の私を壊し、過去の私は失われ、
えもいえぬ、寂しさや悲しみに襲われます。
そう、私たちが失うのは、
大切な人だけではありません。
「それまでの私」も失うのです。
大切な人を失う。それは2重の苦しみなのです。
そして、大切な人を失ったその時から世界は変わります。
それまで感じていたように、感じることは出来ないかもしれません。
ただ、それでも、
また幸せや、喜びは感じることができます。
それは以前感じていたものとは、違うかもしれません。
以前に見えていた世界と景色が違うかもしれません。
それでも、時間はかかるかもしれないけれど、
また幸せや喜びを感じることができます。
もう過去の自分は帰ってこないけれど、
また、今この瞬間から、
私たちは丁寧に自分を創っていくことができます。